ニュースリリース

令和6年度 第1学期終業式校長講話

本日で第1学期が終了します。明日から夏休みに入りますが、今年も、猛暑日が続いていますので、水分補給や涼しいところで体を休めるなど、熱中症には十文気を付けてください。新型コロナウイルス感染症は5類感染症になりましたが、7月に入り感染者が増加傾向にあり、第11波が来ていると言われています。外出する際は感染防止対策を忘れずに行ってください。

 

これから夏休みを迎え、ぜひ、皆さんには、一人一人が成長し、浦和南高校がよりよくなっていくために、「最強の上級生」を目指しでもらいたい。皆さんに対する願いをお話ししたいと思います。

 

まず一つ目。「自分で考えて行動できる人間になってもらいたい。」いわゆる「文武自考」です。

 

夏休みになると、授業がなくなり、自分の時間が増えるはずです。時間を有効に使える人になりましょう。部活動の専念する人が多いと思いますが、1学期の勉強を振り返り、2学期に向けて準備をしてください。また、自分の希望する進路に向けて、準備を怠らないでください。学校では、様々な進学補習が用意されています。

 

3年生は進路実現に向けて、勉強に取り組んでいると思います。部活動に一生懸命取り組んできた人は、受験勉強にシフトチェンジしてください。受験勉強は団体戦です。競い合い、教え合い、励まし合い、が必要です。仲間と良い刺激を与えあいながら、自分の進路実現に向け、遊びなどの誘惑に負けず、勉強に取り組んでください。

 

1年生は、高校に入学して4カ月が経ちました。充実した高校生活を送れていますでしょうか。2年生は1年4カ月が経ち、3年生が引退した部活動では、最上級生として、部活動を引っ張っていく立場になっているでしょか。自分では気が付かないかもしれませんが、本校入学時から見ると、かなり大人へ成長しているはずです。

 

今の自分が、どれだけ成長できているか、考えてみましょう。できる人の例を挙げると、「周りに気配りができる。」「あいさつされる前に、自分からあいさつする。」「教室の汚れに気づいたら掃除をする。」「学校への登校や移動教室の時は、5分前に行動する。」「部活動で後輩を指導できる。」「学校行事では、クラスに貢献できる。」などきりがありませんが、文武自考するために必要なことを、学校で身に付けているはずです。

 

1人が動けば、クラスが変わっていくものです。クラスが変われば、学年が変わっていきます。学年が変われば学校が変わります。いつでも世の中を変えるのは最初の1人だと思います。 ぜひ、「自分で考えて行動できる人間になってもらいたい。」いわゆる自考を、できる人に成長してもらいたい。これが浦和南高校として「最強の上級生」になってほしいと願っています。

 

2つ目に、浦和南高校が求める生徒像が3つあります。アドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)で、身近な課題や問題を積極的に解決しようとする態度を持つ生徒を求めています。1つ目に「高い学力を持ち、問題解決にむけ、探究的な手法で取り組むことができる。」、2つ目に「自他共に理解しようとする態度、物事を柔軟に思考する態度が身に付いている。」、3つ目に「学校生活を送る上で十分な体力を有し、基本的生活習慣が身に付いている。」とあります。HPや学校案内に掲載していますし、今年行われる学校説明会で、毎回説明しようと準備しています。南高生として、3つの求める生徒像が身に付いている「最強の上級生」になってほしいと願っています。

 

今年の体育祭では、クラスの団結力がみられました。特に3年生の最後の体育祭に懸ける意気込みを感じました。次は文化祭で、「最強の上級生」を見せてください。南高の行事が盛り上がるかは、上級生に係っているのです。

 

最後に、今日お話をした「最強の上級生」に関連して、実践例の話を聞きましたので紹介します。数年前に、講演で話を聞きました。

 

それは、帝京大学ラグビー部 岩出 雅之監督の話です。現在は監督を退任され、帝京大学スポーツ局局長を務めています。帝京大学は平成30年1月7日に、ラグビーの大学選手権で前人未踏の9連覇を果たしました。大学スポーツは、毎年人が入れ替わることから、なかなか連覇というのは難しいものです。しかも、早稲田・慶応・明治といった昔からの伝統がある大学ならまだしも、あまり実績のなかった帝京大学が9連覇も達成するというのは、凄いことだと思います。

 

また岩出監督は、2016年日本のスポーツを支える指導者の祭典『第3回ジャパンコーチズアワード』にて、最優秀コーチ賞を受賞されました。この賞がどれだけすごいかというと、優秀コーチ賞に青山学院大学 陸上競技部 原 晋 監督、その年に優勝したJリーグサンフレッチェ広島  森保 一 監督を抑えての受賞です。

 

岩出監督の著書に「負けない作法」という本があります。その中でも感心したのが、この帝京大学ではまさに「最強の上級生」がいて、新入生に「帝京の文化」を伝えていっていることでした。ちょっとその部分を紹介します。

 

「大学の運動部と聞いて、明るい連想をする人は少ないでしょう。『先輩・後輩の関係が厳しい』『下級生は理不尽な要求をされる』『非常に厳しいトレーニングを課せられる』こんなイメージではないでしょうか。私たちのラグビー部にも毎年新しく1年生が入部してきますが、こんなイメージを持って、ドキドキしているのではないかと想像します。」

 

「実は、帝京大学ラグビー部では、最上級生である4年生がもっとも働きます。ほうきや雑巾をもって駆け回り、食事の支度や片付けなど、いつもとても忙しそうです。合宿最終日の打ち上げなどでも、4年生がもっとも場を盛り上げることを求められ、毎年、工夫をこらした出し物で、後輩たちを笑わせています。運動部にありがちな、上級生が威張り散らす空気はまったくなく、学年があがるにつれ雑用が減ってラクになるのではなくて、むしろ反対に、学年が上がるにつれてどんどん雑用が増え、大変になっていきます。加えて、入学後すぐに巡ってくる4月終わりからの大型連休には、まるまる練習を休みにして、特に1年生には、故郷に帰るなどして、ゆっくり休むようにしています。」

 

「なぜ、そんなことをしているのでしょうか。理由は簡単、大学にもラグビー部にも入ってきたばかりの1年生には、余裕がないからです。自分以外の人のために働くには、まず自分に力が蓄えられていなければなりません。そもそも、自分のことで精一杯のときには、周囲を見渡せる余裕がありません。人のため、チームのために気を配り、行動することは不可能なのです。安心してラグビーに打ち込めるのも、安全なグランドで思い切ったプレーを存分にできるのも、快適な寮生活を送れるのも、すべて、余裕のある人、つまり上級生の支えがあって実現できていること。そうした大切に扱われている環境の中で、「自分を大切にする」ということを学び、じっくりと自分を見つめることから始めています。」

 

4年生が雑用を担当する「逆ピラミッド化」など、それまでの常識を破り、脱体育会を実現させました。

 

私は凄いなと思いました。ここに帝京9連覇の秘密が示されていると思います。「ゆとり」というか「余裕」があるんですね。その器の大きさから、名指導者・人格者であると思います。また、昔のやり方にとらわれず、自分の信念を貫いていく姿勢に敬意を表します。そうした教えの中で育った「最強の上級生」が引っ張っている集団は強いと思います。そして、大学卒業後も日本代表選手として、活躍している選手がたくさんいるのも事実です。

 

浦和南高校は地域からよい評価を耳にします。だからこそ、皆さんに「最強の上級生」となって、一つ一つの場面、一瞬一瞬の瞬間で、一人一人が意識を高く持って、南高を引っ張っていってほしい。浦和南高校が益々発展するために、ぜひとも「最強の上級生」として尊敬される上級生であってほしいと願っています。

 

明日から、夏休みに入りますが、どうか事故のないよう注意して、2学期に元気な顔を見せて下さい。

 

南高生の皆さん、将来の夢を持ち続けましょう。 

そして夢を語りましょう。夢を実現させる1歩となります。

常に志高く。  以上