ニュースリリース

令和6年度 第3学期始業式校長講話

皆さん、おはようございます。2週間の冬休みが終わり、本日から3学期がスタートします。冬休みでは、心身ともにリフレッシュできたでしょうか。3年生にとっては一般入試前の、終盤の追い込みの2週間だったかもしれません。体調管理は大丈夫でしょうか。

 

2025年のスタート、令和6年度の学年末を迎えるにあたり、皆さんに3つお話ししたいと思います。

 

まず1つ目は、私は3年生全員の合格祈願をするため、1月1日に東京都にある愛宕神社に初詣に行きました。

 

東京都港区愛宕一丁目にある愛宕神社は、自然に形成された山である愛宕山(標高25.7m)山頂にあり、天然の山としては東京23区で一番の高さを誇ります。愛宕神社は、慶長8年(1603年)に徳川 家康公の命により、防火の神様として創建されました。京都の愛宕神社が総本社になります。

 

この愛宕神社には、こんな逸話が残されています。

 

寛永11年(1634年)に、当時の江戸幕府三代将軍の徳川 家光が愛宕神社の下を通りました。春の愛宕山には満開の梅が咲いており、「誰か馬に乗ってあの梅を取ってこい。」と家臣に命じたのです。

 

愛宕山は非常に険しく、歩いて登るのもやっとなほどの急勾配。馬に乗って登るなど無謀な行為で、運が良くて重傷、運が悪ければ、命を落とす危険な挑戦でした。誰もが顔を背けて名乗り上げない状況のなか、徳川 家光の機嫌が悪くなっていきます。そのとき、馬に乗って颯爽と石段を登り始める男がいました。その男こそ、四国丸亀藩士、曲垣 平九郎だったのです。

 

平九郎は、見事愛宕山の山頂で梅を手折り、徳川 家光に梅を献上しました。徳川家光は卓越した馬術の腕と、鍛錬に励んだ努力を認め、「日本一の馬術の名人」と讃えました。当時無名だった家臣・曲垣 平九郎の名は、たった1日にして全国に知れ渡ったのです。「寛永三馬術」曲垣平九郎の故事として伝わっています。

 

この故事にちなみ、愛宕神社正面の坂(別名 男坂)は「出世の石段」と呼ばれています。現在の男坂は86段あり、傾斜は約40度と急で知られ、脇には勾配がやや緩やかな女坂もあります。江戸時代から、たくさんの人が同じように階段を上って参拝していたと思うと、胸が熱くなります。

 

私の個人的な話になりますが、教頭になる前、校長に昇任する前に、毎年、愛宕神社に参拝に訪れました。

 

愛宕神社のある愛宕山は、天然の山として一番の高さを誇り、江戸時代には、街を見渡せる名所として、見物客で賑わいました。山頂からは、東京湾や房総半島まで見られたそうです。現在は、虎ノ門ヒルズなどの高層ビルが建ち、東京湾や房総半島どころか、江戸城跡(現在の皇居)を見ることができません。

 

実はこの場所は、江戸城無血開城に向けて、大きな役割を果たした場所でもあります。幕末には、江戸の街を一望できた愛宕山で、慶応4年(1868年)3月に、西郷 隆盛と勝 海舟が街を見下ろし、「戦火で消失させてしまうのは忍びない」と協議したといわれています。

その後、江戸総攻撃の前日の慶応4年3月14日、田町蔵屋敷で三度両雄は会見し、江戸攻撃中止が決定されました。東征軍はもちろん、旧幕軍も和戦両方をにらんだ、際どい合意であったと伝わっています。この決定により、江戸の街が戦火に巻きまれずに済んだのです。

 

2つ目の話をします、12月28日(土)国立競技場にて、第103回全国高等学校サッカー選手権大会の開会式ならびに開幕戦が行われ、帝京高校(東京都代表)と京都橘高校(京都府代表)の開幕戦を観戦しました。

 

東京都代表の帝京高校は15年振りの出場で、過去、全国高校選手権に出場34回、うち優勝6回、全国高校総体(インターハイ)に出場34回、うち優勝3回を誇る他、数多くのプロ選手を輩出するなど、カナリヤ軍団と呼ばれ、言わずと知れた高校サッカー界における名門校です。

対する京都府代表の京都橘高校は、2年連続11回目の出場で、第91回大会では、準優勝を収めた同府有数の強豪校です。

 

1-0と帝京高校リードして前半を折り返し、最後は2-1で接戦を制し、帝京高校が2回戦に進出しました。帝京高校17大会振りの1回戦突破を果しました。1回戦とは言え、レベルの高い素晴らしい試合でした。その後、帝京高校は3回戦まで進み、茨城県代表の明秀日立高校に1-1で迎えたPK戦の末、(PK5-4)で敗退しました。

 

サッカー界の名門校である帝京高校の、15年振りの全国高等学校サッカー選手権大会出場と、17大会振りの1回戦突破には、並々ならぬ努力の賜物と言って良いでしょう。出場した選手だけでなく、サポートに回った選手や、伝統を受け継ぎ、指導されたスタッフの方々に栄誉を称えます。

名門と言われた学校でも、全国大会で結果を残すには簡単なことではなく、相当の努力と時間が必要であると実感しました。

 

3つ目の話として、今までの話で何を伝えたいか分かりますか。2025年のスタートに、皆さんに伝えたいことは、

 

 1つ目、歴史をリスペクトする。

 2つ目、歴史を作る先駆者となる。(ぜひチャレンジを惜しまず。)

 3つ目、夢を実現させるために努力を惜しまず、行動を続けること。

 

現在、世界では2つの大きな戦争が続いています。新型コロナウイルス感染症は減少してきましたが、ライフスタイルは、コロナ禍前と大きく変化してきました。また、AIを代表するコンピュータの発展は、人間の職業に大きな変化を与えています。変化の大きな時代であるからこそ、生き抜くための力を身に付けてください。

 

南高生の皆さん、2025年を素晴らしい年にするため、「文武自考」をモットーに、今日から、また一緒に頑張っていきましょう。

 

最後に3年生、大学入学共通テストまであと10日となりました。焦らず、最後まで諦めずに、勉強に取り組んでください。受験勉強は団体戦です。学校で仲間と乗り越えていきましょう。辛いのは自分一人ではありません。最後まで全力を尽くし、乗り切ってください。

 

 南高生の皆さん

 将来の夢を持ち続けましょう。 

 そして夢を語りましょう。夢を実現させる1歩となります。

 常に志高く。  以上