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【校長ブログ】高校地学見聞録

 「サンデー毎日」(2022年2月20日号)で、「ブラタモリ好評でも受験生に不人気“地学”」という記事がありました。NHK番組「ブラタモリ」は人気だが、大学受験では地学は不人気だという内容です。

 「ブラタモリ」は、タモリが日本各地を旅する番組ですが、岩石や地形に造詣が深いタモリが独特の解説をするのが最大の特色です。日本の地学発祥地と言われる長瀞(埼玉県)の番組(2017年7月15日放映、2021年4月24日放映)は圧巻でした。

 高校の理科では、物理、化学、生物、地学などの科目が設定されています。しかし、高校で、地学実験室などの設備がある学校が少なく、岩石の標本から天文台の設置まで、地学教育には予算がかかるため、高校で学べる機会が限られているという現状があります。埼玉県では地学の専任教員の採用はしていますが、全国的には採用を控えているところが多いようです。安田教育研究所の安田理氏は、「日本の地学教育の現状に不安を持っています」と話しています。研究者の調査では、全国の高校で地学基礎と地学の開設率はそれぞれ43.7%、8.8%。2019年度の高校生の履修率は地学基礎で26.2%、地学で0.9%とのことです。私が高校生の時は、物理、生物、化学、地学の全部が必履修科目でした。高校では、いろいろな科目をバランスよく学習することが大切だと考えています。

 サンデー毎日では、現役の高校地学教員が「地学教員のやりがいは、地震や台風など現実の事象を分析することで、生徒に関心を持ってもらえることでしょうね」と述べています。安田理氏は「地学を学ぶには“インフラ”が必要です。それはある意味“ぜいたくな学び”がある環境とも言えます。私立でも伝統的な進学校には、地学が学べる傾向が強い」と言っています。

 浦和南高校では、地学教室や天文台を設置しています。浦和南高校の学校施設は竣工から56年経ていますが、“ぜいたくな学び”ができる環境が整っています。