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【校長ブログ】修了式~Z世代の君たちへ~

3月24日は令和3年度修了式を行いました。今年度もコロナ禍で教育活動は大きな制約を受けましたが、生徒諸君は奮闘努力してくれたと思っています。修了式の校長講話を紹介します。

 私は卒業式で、「新型コロナは未来を10年早く連れてきた」とお話ししました。コロナ禍の前から速かった時代の変化は、ますます速くなっています。また、社会の変化とともに、科学の進歩にも目覚ましいものがあります。その結果、皆さんが学んだ知識も急速に古びていきます。若い時に一度学べばよいという時代は過ぎ去りつつあります。急速に変化する社会で長く活躍し続けるためには、知識を折々に学び直し、また考える力を常に磨き続ける必要があります。

 私はしっかりと覚えています。今から33年前の1989年にアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦の首脳がマルタ島で40年余りも続いた東西冷戦の終結を宣言したことを。来たる21世紀は戦争のない自由で豊かな時代になるのだと私も確信していました。しかし、21世紀は、地球温暖化の影響で自然災害は毎年のように日本列島を襲っています。2020年から突如として新型コロナウイルスによるパンデミック、世界的な大流行となっています。ワクチン接種や薬の開発などにより、新型コロナ対応への希望が見えてきたところで、ちょうど1カ月前の2月24日のロシアによるウクライナ侵攻が始まり、世界中は戦争の危機におびえています。今この時にも、攻撃におびえ、命を落としている一般市民がいます。しかし、希望の炎は消してはいけません。

 学校の先生は、自分が知っていることしか教えられません。ですから、学校の授業だけ、教科書に書いてあることだけに満足しては時代に取り残されます。大切なのは、知的な興味をもち、自分自身で調べ、考えること。しかし、検索に簡単なインターネット上にはフェイクニュース、偽情報があふれています。何がより正しい価値観なのかを見極める力が必要です。高校時代の勉強はその基礎基本になるものです。

 高校1,2年生の皆さんは、Z世代と呼ばれる年代です。小さな頃から、スマートフォンやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス: Social networking service)でグローバルにつながる世代と言われています。君たちの世代は、世界の常識を変えていく可能性を秘めた世代なのです。現在、世の中では、「変革、改革、常識にとらわれず、常識を超えて…」といった言葉が溢れています。「常識にとらわれず」、「常識を超えて」、言葉はかっこよく響きますが、この言葉をよく見つめてください。こうした行動、活動ができるためには、「常識」とは何かということが理解できていないと、「常識」を越えるなんてできないはずです。「常識」は重要だと思います。「常識」を理解した上でないとやはり常識を越えることは出来ないのです。

 さまざまな視点から物事を見ることの大切さについて、「虫の目、鳥の目、魚の目、コウモリの目」ということが言われます。「虫の目」とは、虫のように近いところから物事を注意深く見る視点です。ミクロの視点をもって、現場でしか見えないことを見る目と言えるでしょう。「鳥の目」とは、空を飛ぶ鳥のように、物事を高いところから俯瞰する目です。虫のように近い場所だけ見ていては分からないことも、高いところから広く見ることで、複的に理解することができます。物事を総合的に見る目と言えるでしょう。そして「魚の目」とは、魚が水の流れに従って泳ぐように、時流を読む目です。物事の一面にとらわれず、さまざまな角度から物事を見る目を持つことは、悩みにとらわれない心を持つことにもつながります。最後に「コウモリの目」とは、発想を崩して別の側面を見る目のことです。物事を反対から見たり、普通の見方にとらわれずに想像を膨らませたり、固定概念を崩してみること視点です。Z世代の皆さんには大切な視点になるでしょう。

 自分の悩みが些細なものだと気づくだけでも、心が少し軽やかになり、今までとは違った気持ちで生活できるようになるのではないでしょうか。視点を変えれば、景色が変わる。心を変えれば、周囲が変わる。軽やかな心で、よりよい人間関係、よりよい人生を築きずいていきたいものです。

南高生の皆さん。

元気に挨拶していますか。

他人に優しくしていますか。

夢をあきらめていませんか。

志高く。